仕事のときに雑談ってしていいの?
こんな疑問にお答えします。
本記事の信頼性
私は1日の仕事の中で、必ず雑談をします。
実際、雑談は仕事に良い影響を与えます。
というより、仕事において雑談は必須です。
雑談のない職場は、間違いなく衰退します。
今回は仕事における雑談の重要性をご紹介します。
本記事の内容
- 意味のある仕事の8割は雑談から生まれる
- 雑談でアイデアが生まれやすい明確な理由
- 雑談は資産運用と同じ
目次(クリックすると読みたい部分まで飛べます)
意味のある仕事の8割は雑談から生まれる
今回の記事で対象とする雑談は、どうでもいい世間話ではありません。
ジャンルとしては仕事の話だけど、業務とは直接的に関わらないような雑談です。
たとえば、製薬会社に勤める私の場合、
『最近〇〇の研究室から論文出たよね』
『そういえば、〇〇阻害薬が承認されたね』
みたいなイメージです。
そもそも、雑談は職場の生産性を上げることがすでに報告されています。
というのも、人間の集中力なんて持続しないので、雑談をしてリフレッシュすると、またやる気がでますよね。
これはなんとなく体感としてイメージしやすいと思います。
ただ、雑談の効果はそれだけではありません。
私の場合、意味のある仕事の8割は雑談から生まれています。
ここで言う『意味のある仕事』というのは『何かを生み出す仕事』です。
たとえば、新たな研究テーマのコンセプトを立案したり、それを検証する実験をしたりすることです。
逆に、意味のない仕事というのは、何も生み出さない仕事です。
経費処理とか、書類の整理とかですね。
経費処理とか書類整理も必要な仕事ではありますが、現実問題として、何か新しい価値を生み出す仕事ではないですよね。
8割というのもちゃんと根拠があります。
会社では工数入力といって、どのプロジェクトにどれぐらい自分の中のリソースを配分したかを記録する必要があります。
工数はトータルで1になるようにするのが一般的です。
たとえば、Aというプロジェクトに0.2、Bというプロジェクトに0.5、Cというプロジェクトに0.3みたいな感じです。
私の場合、工数の0.8を占める仕事は、紛れもなく雑談が基になっています。
雑談の中で生まれたアイデアって、意外とその後大きなプロジェクトになったりします。
大げさかもしれませんが、実際こういう雑談の中で生まれるアイデアが会社を支えていると言っても過言ではありません。
そのことに肌感覚として気づいている人の方が、積極的に雑談をします。
雑談でアイデアが生まれやすい明確な理由
実際、雑談でアイデアが生まれるのは偶然ではありません。
アイデアが生まれやすい明確な理由があります。
それは、次の3つです。
雑談でアイデアが生まれる理由
- 直感で話せる
- 締め切り効果が期待できる
- 受動的に情報が入るネットワークができる
順に見ていきましょう。
直感で話せる
まず、直感で話せるのは雑談の大きなメリットです。
たとえば、会議のときを想像してください。
大人数の会議とかになると、どうしても言葉を選びながら発言しますよね。
その場の雰囲気に飲まれてしまい、聞きたいことが聞けないときもあると思います。
これは会議という構造上、多少なりとも生じることです。
一生懸命考えようとすればするほど、左脳思考が強くなり、どうしても論理ばかり気にするようになってしまいます。
そうすると、あまり思い切ったアイデアを出すところまでいかず、結局いい塩梅の結論で会議が締めくくられる、、、みたいになりがちです。
でも、雑談のときってそんな気張る必要ないですよね。
かなりリラックスした状態で、思ったことをそのまま言ってると思います。
ほぼ直感に近い感じですね。
こういうときって、右脳もうまく使えるので、思わぬ形でいいアイデアが出たりします。
たとえば、PCRを開発したキャリー・マリスもそうです。
彼は、交際相手のジェニファーを載せてドライブデートしているときに、突然PCRの原理をひらめきます。
革新的なアイデアは、意外と不意に浮かぶものです。
締め切り効果が期待できる
リラックスして話せるとは言うものの、ダラダラと雑談を続けるのって、相手に失礼ですよね。
なんとなく、誰もが心の中で申し訳無さを感じると思います。
なので、あまりに長引きそうだったら、雑談を上手い形にラップアップすると思います。
このときに締め切り効果が働きます。
たとえば、電車で本を読んでいる時。
降りる駅に電車が止まりそうなときに、あと少しでキリの良いところまで本が読み終わるみたいな場合、結構読むスピード上がったりしませんか?
人間って、時間的な締め切りが近いと、一気に集中力が上がる生き物です。
雑談はリラックスしながら話つつも、長引かせちゃいけないので、話をうまくまとめるために頭はフル回転していたりします。
なので、何でも言えるリラックスした状態と、話を長引かせないための適度な緊張感がちょうどよく混ざり、思考を洗練させてくれます。
だからこそ、短時間であるにも関わらず、良いアイデアが出やすいわけです。
受動的に情報が入るネットワークができる
雑談の効果は、雑談が終わったあとにも続きます。
たとえば、日頃から雑談をしていて、良好な関係を築いている同僚と、あまり話したことのない同僚がいたとします。
もしあなたが、何か新しいアイデアを思いついたときに、どちらの同僚に相談しますか?
おそらく、日頃から雑談をして関係が良好な同僚に話すと思います。
仕事といっても、結局のところ人間関係がベースに存在しますよね。
これは、相手から見ても同じです。
もし普段から雑談する関係の同僚がいれば、その同僚は何か新しいプロジェクトをはじめたいとき、まずあなたに相談するはずです。
こうやって、アンオフィシャルな仕事の情報を互いに話し合える関係を構築できると、仲間と協力しながらどんどんプロジェクトを立ち上げることができます。
相手から話かけてくれるということは、受動的に情報が入るネットワークをもっているということです。
この関係を築くために雑談は一役買っています。
雑談はその場の5分で終わらず、長い目でみれば、ビジネスの種を自分のもとに届けてくれるわけです。
雑談は資産運用と同じ
雑談している人をみると、なかには、『もっと真面目に仕事をやれ』って思う人もいるかもしれないですね。
実際、1時間も2時間も、業務と関係ない話をダラダラしている人がいたら、それは意味のない雑談です。
でも、5分程度の雑談を、1日の中で何人かの人とするのは、めっちゃ重要です。
私は、雑談の効果は資産運用と似ていると思っています。
資産運用の基本は長期分散投資です。
長期というのは、長い年月をかけて投資し続けることです。
分散というのは、一つの銘柄ではなく、複数の銘柄に投資することです。
これは、資産運用におけるゴールデンスタンダードです。
雑談も長期分散投資が重要です。
雑談できるような関係の仲間のことを大切にし、長期、つまり一生その人を大事にすること。
そして、少数のうちわだけの雑談で盛り上がるのではなく、分散、つまり雑談する仲間の輪を広げていくこと。
これが、良好な雑談の条件だと思っています。
資産運用の場合も、短期間では効果はほとんど得られません。
けれども、5年、10年、15年、20年と年月が経つにつれて、徐々にその効果が表れます。
これは雑談も同じです。
はじめは雑談は何の仕事にもつながらないかもしれません。
でも、その雑談の時間を大切にして、仲間の輪を広げていくことで、確実に後々の大きな仕事に繋がっていきます。
なにより、雑談は楽しいので、知らず識らずのうちに仲間が増え、仕事自体も楽しくなると思います。
仕事といえど、あくまでベースにあるのは人間関係です。
人間関係を豊かにしてくれる雑談は、仕事において欠かせない時間だと日々感じています。
まとめ:まずは隣の席の〇〇さんから
今回は仕事における雑談の重要性についてご紹介しました。
ひとつ注意点としては、集中してパソコン画面に向かっている人には、むやみに話しかけないようにしましょう。
ちょっと周りを見渡したときに目があった人やエレベーターで乗り合わせた人と、何気ない話からでもOKです。
最初は仕事の話じゃなくてもいいと思います。
まずはお昼時の休憩時間に、隣の席の〇〇さんに話しかけてみてください。
そこから仲間の輪を広げる第一歩が始まります。
今回は以上です。