製薬会社研究職を目指しているけど、実際就職するとどんな感じなんだろう?
就職前と就職後のギャップが知りたい
こんなお悩みのお答えします。
本記事の信頼性
私は大学院を卒業後、大手製薬会社に入社しました。
現在も研究員として、日々創薬研究をしています。
就職前は、製薬会社の研究ってこんな感じかなという漠然としたイメージを抱いていました。
今回は製薬会社に就職してみて感じた、就職前と就職後のギャップについてご紹介します。
これから製薬会社に就職しようと考えているのであれば、ぜひ最後まで読んでみてください。
本記事の内容
- 【製薬会社】就職前と就職後のギャップ
- 入社後の心理変化
- まとめ
目次(クリックすると読みたい部分まで飛べます)
【製薬会社】就職前と就職後のギャップ
製薬会社に入社してみて感じた主なギャップは次の5つです。
入社前と後のギャップ
- 研究のスピードが早い
- 研究のレベルが高い
- 研究費が潤沢
- ピュアな人が多い
- 組織改編・人事異動が多い
他にもありますが、本当に想像以上だったのは上記の5つです。
ひとつずつ見ていきましょう。
研究のスピードが早い
研究のスピードは本当に早いです。
漠然と研究スピード早いんだろうなと思っていましたが、その想像の遥か上をいく早さです。
論文を出すことは少ないですが、イメージ的には3ヶ月で一報、論文が出せるくらいのデータ量です。
これって結構早いですよね。
研究のスピードが早い要因は、社内の様々な部署が協力して効率的にデータを出せるからです。
また、外部委託を使って、どんどんデータを取っていきます。
月に一回は進捗報告の会議があります。
ほとんどの研究員が一ヶ月の間に質の高いデータをたくさん出してきます。
入社直後は、先輩研究員の出すデータ量に驚きました。
もちろん、考える時間も大切ですから、ただ闇雲に実験すればいいわけではありません。
ただ、製薬会社の研究員は、考えてから実行に移すまでの早さがかなり早いと思います。
研究のレベルが高い
研究の早さだけでなく、研究のレベルが高いです。
これは、思っていた何倍もレベルが高いなと思いました。
入社前は、創薬のタネはアカデミアが出し、製薬会社は薬を創るための評価研究が多いのかと思っていました。
でも、入社してみると全然そんなことはなかったですね。
むしろ、製薬会社では、自社オリジナルの阻害剤などを豊富に持っているため、それらを使って得られる豊富な基礎データがあります。
上司や部署長なども、当然研究出身の方ですが、皆大学でラボ持てるんじゃないかってぐらいのサイエンス力があります。
製薬会社に入社しても、レベルの高いサイエンスを楽しむことができるので、このギャップは製薬会社に入社しようか悩んでいる場合には朗報だと思います。
研究費が潤沢
入社前から、研究費はかなり充実しているという話は聞いていました。
ただ、入社すると、実際思っていたよりも豊富に研究費を使える環境だなと思いました。
大学時代って、試薬一つ買うのも、結構値段気にしたと思います。
製薬会社で研究する場合、ほとんど試薬の値段なんて気にしません。
この前ふと、一週間で注文した試薬の金額を数えてみましたが、私ひとりで、50万円を超えていました。
また、研究機器などの設備もかなり豊富です。
数千万円する機械がゴロゴロあります。
また、少し型が古くなってきたら、最新式をすぐ購入します。
顕微鏡もかなりハイスペックのものが揃っているので、非常に様々なデータを取得できます。
お金が足りなくてやりたい実験ができないなんてことは、まずあり得ません。
解明したいことをとことん追求できる研究環境が整っています。
ピュアな人が多い
ちょっと毛色が違うかもしれませんが、人の印象としてピュアな人が多いです。
これは会社の色もあるかもしれませんが、どちらかというと研究員の特性だと思っています。
入社前は、製薬会社というと、どうしてもビジネスの側面があるので、研究にもお金儲けの要素が絡むのかなと思っていました。
たとえば、患者数が少ない疾患はそもそも創薬の相手にしないみたいな。
ただ、会社で研究を続けていて思うのは、あまりお金のことは考えていない人が多いです。
たとえば、希少疾患であっても、患者さんのためになるなら研究する価値があると考える人が多いです。
もちろん、ビジネスの側面があるのは事実なので、組織のトップレベルの人から、承認が降りないこともあります。
ただ、現場の研究員としては、あまり患者数は気にせず、患者さんとって本当に価値がある薬であれば積極的に創りたいと思っている人がほとんどです。
オーファン指定などの制度も国が整備してきているので、希少疾患については研究開発しやすい状況にもなってきました。
なので、研究員の純粋な気持ちが、より活かせる社会になってきたのかなと思います。
組織改編・人事異動が多い
組織改編や人事異動は結構多いです。
これは人によっては悪いギャップになるかもしれません。
組織改編は部署の名前や組織構造が変わることです。
組織改編は研究本部の本部長とかが変わるタイミングで、起こるのが一般的です。
単に部署の名前が変わるだけのこともあれば、組織構造が抜本的に変わることもあります。
なので、抜本的に変わる組織に属していた研究員は、仕事内容がガラリと変わることもあります。
また、会社員なので人事異動もあります。
人事異動は、主に年2回ぐらいタイミングがあります。
いきなり研究から臨床開発に異動になる場合もあります。
しかも、人事異動を言い渡されるタイミングって、割と直前です。
私は異動したことがないので、詳細はわからないですが、人によっては異動の3日前とかに言われることもあるみたいです。
人事異動については、上司との定期面談などで、キャリアプランを相談しているので、割と希望に即したものがほとんどです。
ただ、ごくまれにサプライズ人事があったりします。
研究員の場合、しっかりと日頃から研究に取り組んでいれば、異動願いを出さない限り、10年以上は研究員として仕事をするのが一般的です。
なので、いつ異動を言い渡されるかわからないから不安。。。みたいにナーバスになる必要はありません。
入社後の心理変化
先程あげたギャップは、あくまで私が感じたギャップです。
なので、もしあなたが製薬会社に就職した場合、また別のギャップを抱くことになると思います。
ただ、ギャップを感じた結果、入社後に起こった心理変化については、ある程度知っておいて損はないと思います。
私の中で起こった、入社後の心理変化は次の3つです。
心理変化
- 正解はない
- 行動する人が一番偉い
- 社内批評をする人はいらない
ひとつずつ見ていきましょう。
正解はない
まず何より、研究のやり方に正解が無いという意識が強くなりました。
入社1年目のときは、決まったやり方や正しいやり方を追い求めていましたが、それは間違いでした。
たしかに、会社にはいろんなノウハウをもった人がいますし、いろんな社内知見も蓄積しています。
なので、どんな研究をするにも、ある程度正解のやり方があるのではないかという思いが芽生えてきます。
ただ、これはあまり意味がないなと気づきました。
本当に明らかにしたいものを自分で考え、必要なことを自分の頭で考えることが何より重要です。
先輩にやり方を教わるのも大切ですが、ある程度教わったらひとり立ちして、自分で試行錯誤する経験が本当に重要です。
なので、ノウハウコレクターにならず、自分の道を自分で開拓していきましょう。
行動する人が一番偉い
入社後はいろんな知識を吸収するために、自然と勉強する時間が増えると思います。
それ自体は非常に良いことです。
ただ、それ以上に重要なのは、勉強したことを知識として終わらせるのではなく、周囲に共有することです。
あるいは、実際に実験してみるのも良いと思います。
周囲への共有や実験は、実際に自分で行動を起こしていますよね。
これが最も大切です。
行動を起こすと、思いがけない発見があったりします。
たとえば、私の場合、論文を読んでいて純粋な疑問を抱き、実際に実験してみたことがあります。
その結果、面白い発見が得られ、それが今の自分の研究テーマになっています。
また、そのことがきっかけで、社内にも多くのネットワークができ、他部署の仲間から日々いろんな面白い情報を共有してもらえます。
結局、自分ひとりで知識を得るのには限界があります。
行動を起こすことで、結果的に仲間が増え、どんどん情報が集まるシステムを構築できます。
社会において最も市場価値がある人は、常に行動を起こせる人です。
社内批評をする人はいらない
社内批評をする人って、一見頭が良さそうに見えます。
新入社員のとき、社内批評する先輩を見て、いろんなことを知っているなと関心したのを今でも覚えています。
ただ、社内批評ってあまり意味がないです。
それを言ったところで、現実は何も変わりません。
もちろん、組織のトップに直談判するのであれば、話は別だと思います。
ただ、社内批評をする人って、手っ取り早く自分の周囲にいる人から承認を得たい人がほとんどですよね。
批判をしても、現実は何も変わりません。
なので、先程お話しした通り、行動する人が一番偉いわけです。
もしあなたが入社したときに、社内批評をする人が近くにいたら、あまり関わらないことをおすすめします。
そういう人に付き合って、大切な時間を奪われるぐらいなら、早く帰って自己研鑽しましょう。
まとめ
今回は製薬会社に入社してみて感じたギャップについてお話ししました。
入社後に抱くギャップは人それぞれだとは思いますが、少なからず参考にはなると思います。
また、ひとつ確信しているのは、入社後に必ずワクワクする体験が待っています。
研究が好きな人にとっては、これでもかというほど研究にのめり込める環境が、製薬会社にはあります。
近い将来、ぜひあなたと一緒に創薬研究に没頭できる日が来るのを楽しみにしています。
製薬会社の就活対策については、以下の記事を参考にしてみてください。
今回は以上です。