こんな疑問にお答えします。
本記事の信頼性
目次(クリックすると読みたい部分まで飛べます)
製薬会社の研究員を目指す人が読むべき本【オススメ5選】
今回の記事では、製薬会社の研究員である私がオススメする書籍を紹介します。製薬会社の研究員を目指す人は、ぜひ読んでみてください。
1冊目:創薬科学入門
この本は製薬会社の研究員を目指す人にとって、入門書的な位置づけです。
ただ、製薬会社の研究員の私でも、いまだに時々読みます。それぐらい、普遍的にためになる本です。それでいて、マニアックすぎないので、とても読みやすいです。
この本では、次のことがわかります。
- 創薬研究の流れ
- 創薬研究の歴史
- 様々な医薬品の作用機序
低分子医薬品や抗体医薬品の知識だけでなく、抗生物質や抗ウイルス剤、高血圧治療薬、抗がん剤、糖尿病治療薬など、様々な医薬品についてメカニズムを知ることができます。
最初に読むべき1冊としては非常に良い本です。
2冊目:実験医学増刊 研究成果を薬につなげる アカデミア創薬の戦略と実例
タイトルこそアカデミア創薬となっていますが、製薬会社の研究員にとっても重要な内容が詰め込まれています。
この本は1章だけ読めば十分です。もちろん、2章3章も面白いですが、特に重要なのは1章です。
この本では、次のことがわかります。
- 化合物ライブラリーの重要性
- 化合物スクリーニング全般
- 化合物の構造最適化
- 薬の効き方を調べる方法
- バイオマーカー
- インシリコ創薬
有機化学が苦手でも読めます。
第1章の内容は、いまでもときどき読み直しています。
実験医学 14年増刊 研究成果を薬につなげる 32-2 /羊土社/長野哲雄
3冊目:ジェネリック vs ブロックバスター
この本は主に特許戦略に関する本です。ただ、特許についてだけでなく、医薬品が世に出るまでの流れと世に出てからの流れをうまくまとめてくれています。この本を読むことで、製薬会社のビジネスの全体像がわかります。
また、製薬会社のビジネスの全体像が掴めてくると、どんなポイントに気をつけて研究を進めていけば良いかが何となく掴めてきます。
この本で主にわかることは次の通りです。
- 医薬品のライフサイクルマネジメント
- 特許戦略
- ジェネリック対抗戦略
研究者こそ、大きな枠組みで創薬を考えることが必要です。
この本もたまに読み返しています。
4冊目:添付文書がちゃんと読める 薬物動態学
この本は、ちょっととっつきにくい薬物動態について、とてもわかりやすく説明してくれています。
私は薬学部出身ではないので、製薬会社に入るまで薬物動態について学んだことがありませんでした。ただ、ぶっちゃけこの本の内容さえ理解できていれば、製薬会社で研究していく上で、何も困りません。
この本では次のことがわかります。
- 薬物動態全般
- 分布容積
- クリアランス
特に、分布容積についてはめっちゃわかりやすいです。
私は社員研修で分布容積とかについて習ったものの、あまり理解できませんでした。この本を読んではじめてちゃんと理解できました。正直、社員研修用の教科書にしても良いと思っています。
薬物動態を専門とする人にとっては、当たり前の内容なのかもしれません。
ただ、薬物動態以外の部署の人にとっては、この本は間違いなく入門書になります。
5冊目:添付文書がちゃんと読める 物理・化学
この本は先程の添付文書がちゃんと読める 薬物動態学のシリーズです。こちらの添付文書がちゃんと読める 物理・化学 もオススメです。この本は、薬の働きを理解する上で必要な物理・化学の知識を説明してくれています。
例えば、胃内のpHの違いで薬の効き目が変わることや、シスプラチンという薬剤はなぜ水ではなく生理食塩水で溶かすのかなどをとてもわかりやすく説明しています。
正直、この本の内容を理解していれば、製薬会社の研究員の中でもかなり優秀な部類に入ります。
この本では次のことがわかります。
- 薬を塩(えん)にする理由
- 化学結合
- 浸透圧
- 酸塩基平衡
- 分配係数
- 酵素阻害のメカニズム
この本も有機化学の知識がなくても十分読めます。
ぜひ読んでみてください。
本を読む上で注意すること
本を読む上で注意するべきことを簡単に説明します。
結論から言うと、完璧主義は捨てましょうということです。
まずは全体感を掴む
どの本を読むときにも言えることですが、最初から全部を理解しようと思わなくて大丈夫です。まずは全体感を掴みましょう。軽く流して一回読み、少しマジメに二回目を読むぐらいの気持ちで大丈夫です。どの本も分厚い本ではないので、気楽に読めます。
すべてを理解できなくてもOK
読む中で難しいところはどんどん飛ばしましょう。最終的に理解できなかったところは、それはそれでOKです。入社してから先輩に聞きましょう。
定期的に辞書代わりに使う
今回紹介した本は、一回読んで終わりというタイプの本ではありません。私もいまだに時々読み返しています。手元に置いておき、定期的に辞書代わりに使うのが良いです。
まとめ
最後に簡単にまとめます。
- 1冊目:創薬科学入門
- 2冊目:実験医学
- 3冊目:ジェネリック vs ブロックバスター
- これらの本は手元においておき、辞書代わりに使う