製薬会社の研究員の生活スタイルが知りたい!
こんな疑問にお答えします。
本記事の信頼性
製薬会社の研究員ってどんな生活しているのかあまり想像がつかないですよね。
実際、私も就活のときは、実際どうなんだろうって疑問に思っていました。
今回は、実際に製薬会社で研究員として働く私が、製薬会社研究員の1日を紹介します。
製薬会社で働く姿がイメージできると、実際に就職活動をするときの判断材料になりますよね。
できるだけ具体的に製薬会社の研究員の生活をご紹介いたします。
本記事の内容
- 製薬会社の研究員の生活【1日のスケジュール】
- 製薬会社研究員の仕事の内訳
- 製薬会社研究員の出張業務
- まとめ:製薬会社の研究職は楽しい
目次(クリックすると読みたい部分まで飛べます)
製薬会社の研究員の生活【1日のスケジュール】
現在、多くの製薬会社でフレックスタイム制度や裁量労働制度を導入しています。
フレックスタイム制度は一ヶ月の間の総労働時間を決めておき、働く人はその労働時間分は働くようにすれば、何時に出勤し何時に退勤してもOKという制度です。
一方、裁量労働制度は実際の労働時間に関わらず、一定時間労働したものとみなす制度です。
私は裁量労働制で働いています。
研究という仕事は、長い時間働いたからといって、良い成果が出る仕事ではないですよね。
アイデアを練る時間が必要なときもあれば、思い切り実験する時間が必要なときもあります。
つまり、皆が一律に同じ時間働いたところで、成果は人それぞれです。
そのため、労働時間に縛られない裁量労働制度を導入している会社が多いわけです。
裁量労働制なので、働き方は比較的自由です。
例として、私のある1日のスケジュールを紹介しますね。
時間 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
---|---|---|---|---|---|
8:00 | 論文確認 | 実験 | 資料作成 | 実験 | 資料確認 |
9:00 | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | 会議 |
10:00 | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
11:00 | 実験計画 | ↓ | 論文確認 | ↓ | ↓ |
12:00 | 昼食 | 昼食 | 昼食 | 昼食 | 昼食 |
13:00 | 実験 | データ整理 | 会議 | データ整理 | 実験 |
14:00 | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ブレスト |
15:00 | ↓ | ↓ | 議事録作成 | ↓ | ↓ |
16:00 | データ整理 | 資料作成 | 資料作成 | 調べもの | ↓ |
17:00 | 退社 | 退社 | 退社 | ↓ | 退社 |
18:00 | 退社 |
私の場合は、朝は結構早いのが好きなので、だいたい8時に出社しています。
退社するのは、だいたい17:00ぐらいのときが多いです。
夜遅くまで実験が長引いた日などは、次の日の午前中はゆっくり家で休んでから出社したりしています。
あくまで一例ですが、一日中実験している日もあれば、半日会議のときもあります。
たまに同僚とブレインストーミングをして、新しいテーマのネタを出し合ったりしています。
未来の創薬を考えながら、研究員同士ディスカッションするのはとても楽しいです。
製薬会社研究員の仕事の内訳
製薬会社の研究員の仕事の内訳は主に次の3つです。
仕事の内訳
- 実験
- デスクワーク
- 会議
1つずつ見ていきましょう。
実験
製薬会社の研究員にとって、実験は重要な業務です。
どれぐらい実験するかは人や部署によって異なります。
データサイエンティストなどは実験はしません。
私はバイオロジストなので、結構色々実験しています。
ただ、学生時代とは結構やり方が違います。
いわゆるルーティンワークの類は、技術員さんにお任せしたりしています。
研究員はアイデアを練って、それを検証するような実験に重点をおいています。
研究を円滑に進めるためには、技術員さんの協力が不可欠です。
研究員には、技術員さんとのコミュニケーション能力やマネジメント能力も求められます。
また、製薬会社は研究開発費が豊富です。
なので、学生時代と異なり、必要であれば試薬やキットをどんどん購入できるので、とても実験がはかどります。
必要であれば外部委託などをして研究のスピードを上げます。
製薬会社の研究所はアカデミアよりも時間をお金で買うという価値観をもっている印象です。
デスクワーク
デスクワークは主に次の3つですね。
デスクワーク
- データ解析
- 論文調査
- 資料作成
データ解析は最も重要な業務の1つです。
解析を雑におこなうと、大切な発見を逃してしまう可能性もあります。
私は、場合によっては実験した時間と同じぐらい解析に時間をかけ、いろんな角度からデータとにらめっこしています。
また、データ解析の際は結構エクセルを使います。
実験ノートもエクセルをベースに作成することが多いです。
学生のうちからエクセルの扱いに慣れておくと良いです。
論文調査は実験の合間に行うこともあれば、1日がっつり論文を読む日もあります。
また、論文調査だけでなく、新しい研究テーマの立ち上げのための調査をしたりもします。
チームのメンバーで論文を紹介し合ったりして、疾患や分子メカニズムの理解を深めたりもします。
チームで研究できるのが製薬会社のやりがいの1つです。
データを解析した後は、資料にまとめます。
割と資料作成の時間は多いです。
得られたデータやその解釈をわかりやすくまとめるのはとても大事な仕事です。
第三者が理解しやすい資料を作ると、会議も円滑に進みますよね。
会議
会議は大きく分けて2種類あります。
会議
- 定例報告
- プロジェクトの価値判断
定例会議は自分のプロジェクトの進捗報告です。
主に部署単位でおこなわれ、研究員同士でデータのディスカッションをします。
色々な人から意見をもらうことで、自分の研究がより深みを増しますね。
一方で、プロジェクト価値判断を伴う会議もあります。
製薬会社の研究は、タイムラインがしっかりしています。
なので、定期的にプロジェクトの価値判断の会議があります。
これは、部署の枠を超えて、研究所全体でおこなわれます。
価値判断というのは、プロジェクトを進めるか中止するかということです。
良い結果が出るばかりではありませんから、残念ながらプロジェクトが中止になることもあります。
価値判断というと、ちょっとシビアな印象を受けますよね。
たとえば、この期間までにデータが出なかったら即プロジェクト中止みたいな。
でも、そんなことはありません。
ちゃんと論理的な理由があり、もうちょっと深堀りしたほうが良さそうなときは、プロジェクトの期間を延長したりもします。
重要なのはプロジェクトに対する情熱です。
研究の進め方は人それぞれですから、情熱をもっている人の方がどんどんプロジェクトを推進できます。
また、その他にも、プロジェクト単位でおこなわれる会議や社外の共同研究先との会議もあります。
最近だと、電話会議やテレビ会議も増えてきました。
製薬会社研究員の出張業務
製薬会社の研究員は一年中研究の中にいるわけではありません。
出張業務もあります。
出張業務はだいたい次の3つです。
主な出張業務
- 本社での会議
- 共同研究先との会議
- 学会に参加
人によっては、本社に頻繁に出張する人もいます。
たとえば、臨床開発を研究側から支援するプロジェクトに携わる人や、育薬関連のプロジェクトの人は本社に行く機会が多いですね。
また、共同研究先との打ち合わせや定例報告などで、大学や研究機関などの出向くこともあります。
頻度としてはそんなに多くありませんが、一ヶ月〜三ヶ月に一回ぐらいは大学の先生と対面でディスカッションをしたりします。
学会出張は会社にもよりますが、比較的自由に参加できます。
私の場合、国内学会は年に2〜3つ、海外学会は年に1つ参加しています。
学会参加の主な目的は情報収集です。
たまにポスター発表などで参加することもあります。
学会を通じて、最新の情報に触れるのはとても大切なことです。
製薬会社に入社したら、積極的に上司に打診して学会に参加することをおすすめします。
まとめ:製薬会社の研究職は楽しい
結論、製薬会社の研究職はとても楽しいです。
製薬会社に勤めている私が言うので、ポジショントークっぽくなってしまいますが、とてもオススメできる仕事です。
製薬会社の研究職が楽しい理由は次の3つに集約されるかなと思います。
ポイント
- ワクワクする
- 働き方の自由度が高い
- 人間関係のストレスが少ない
やっぱり研究ってワクワクします。
新しいことを発見するのって、とてもワクワクします。
知的好奇心がそのまま仕事の内容に直結するという点が、仕事が楽しい理由の1つです。
また、裁量労働制や在宅勤務を取り入れている会社が多いので、働き方の自由度が高いです。
新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出た際も、すぐに在宅勤務に切り替えることができました。
働き方の自由度が高いため、自分でコントロールできる時間が多いのも、仕事が楽しい理由の1つです。
ただ、働き方の自由度が高い分、しっかりと自分を律する必要があります。
自由度が高いからこそ、日々の自己研鑽が必要です。
自分で自分をマネジメントできる人に向いている仕事ですね。
そして研究という仕事は、一般のお客さんを相手にする仕事ではない分、対人関係のストレスは少ないです。
対人関係のストレスが少ない分、仕事に集中できるというのも、仕事が楽しい要因の1つだと思います。
もちろん、研究所の中でのコミュニケーションは必要です。
ただ、日々一緒に研究している仲間という意識が強いので、あまりコミュニケーションを取る際にストレスは発生しません。
良い研究をできる環境は、本音で意見を言い合える環境です。
新入社員のうちは遠慮しがちですが、疑問に思ったことはどんどん質問するのが良いです。
以上、今回は製薬会社の生活についてお話しました。
もしこの記事を読んで、製薬会社の研究職に興味をもってくれたらとても嬉しいです。
製薬会社への就職を目指しているなら、以下の記事も参考にしてみてください。
今回は以上です。